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カザフスタン編
渡邊一久ディレクター

「世界の60歳」のグルマリアさんと渡邊ディレクター

「世界の鉄道」取材でお世話になった皆さん
左からルスランさん、ウシュトベの副市長、ウシュトベ駅長

カザフスタンのウシュトベはシルクロードの中継駅
vol.58「世界の鉄道」 より
カザフスタンってどんな国?
「カザフスタンに行く」 グローバルビジョンの収録で。
「危なくないの!?」 と、姉。・・・それは「アフガニスタン」
「ワールドカップアジア予選で戦うところだよね」 と、サッカー通の某氏。・・・それは「ウズベキスタン」
「核兵器持ってるでしょ?」と、・・・それはたぶん「パキスタン」
とかくカザフスタンのイメージはこんなものです。
実際にどんな国で、どんな人々がいてどこにあるのかと問われても一言で説明するのは難しく「なんとなくこんな国」というイメージも無いのがカザフスタンでした。
もちろん下調べを十分に行なって撮影に行くのですが今回は不安が大きかったです。とは言え、「どんな国なんだろう?」「どんな人々が住んでいるのだろう?」と期待と不安の中で撮影に向かうのがグローバルビジョンの醍醐味ではありますが・・・
「・・・スタン」という国を調べてみまた。
「カザフスタン」「ウズベキスタン」「トゥルクメニスタン」「アフガニスタン」「タジキスタン」「パキスタン」・・・
一般的にペルシャ語由来の言葉でその国の多数派を占める民族名称の語尾に接続されて地名となったものらしいです。
簡単に言うと「カザフの人々の土地→カザフ-スタン」となるそうです。(「アフガニスタン」「パキスタン」を除きます)
「キルギス(昔はキルギスタンと呼ばれていました)」も含めソ連邦崩壊後、独立した国々でこれらの国が中央アジアとして構成されています。しかし、私たちの感覚ではアジアというよりユーラシア大陸の真ん中に位置する国々と思った方が理解が早いかもしれません。概ね乾燥したステップが広がる大地で遊牧民を祖に持つ人々です。
ロシアはもちろんの事、アジアの大国である中国やトルコの文化、風俗に強く影響されているようです。
カザフスタンの人々の顔立ちは私たち日本人とよく似ています。
ロケ先で「日本から取材に来ました。名前は渡邊一久と言います。」と自己紹介すると大抵、「お前カザフ人だろ?」と言われ、「お前の祖先はカザフ人だ」と決め付けられ、「違います純粋な日本人です。」と説明しなければなりませんでした。
もう面倒なのでロケの途中から名前を「カズベック(・・・ベックという名前がカザフでは多いらしいです。)」と紹介したらすんなりと受け入れられました。

アルマトイのホテル、エレベーターホールの両端に灰皿が

グルマリアさんと夫のソビエトさん
vol.63「世界の60歳(Part3)」 より

ルスランさんが運転する機関車、マルボロの箱が・・・
vol.58「世界の鉄道」 より
タバコ天国
ロケはソウル経由でアルマトイ国際空港へ。
まず驚いたのが喫煙者天国だということ。
私はロケには必ず携帯灰皿を持っていくのですが、ブラジルでは「面白いもの持ってるね」と言われニュージーランドでは「日本人はまめだね」と言われカザフスタンでは「お前、バカじゃないの?」と言われました。
空港の免税店では必ずタバコを買います。
日本ではマルボロ1箱320円、空港内では240円(80円安い)
ところがカザフスタンではマルボロ1箱8円!なんかガックシ・・・ 味は微妙に違いますが(お世話になった運転手のひとりも喫煙者で日本で買ったマルボロをあげたら「日本のマルボロはうまい!」と言ってました。)
喫煙率も高いようです。[60歳(Part3)」で取材したグルマリアさんの夫もヘビースモーカーですし、鉄道で取材したルスランは列車運転中にも吸ってます。彼もマルボロで1日2箱吸ってます。助手のアマンジョルもヘビースモーカーでした。
ホテルでは入り口に灰皿、エレベーターホールに灰皿、もちろん部屋も吸い放題。ニュージーランドロケの時は、部屋で喫煙出来るホテルが見つからず、ベランダで蛍族をしていたのと雲泥の差です。あぁいい国だ。
しかし、どこの家も部屋の中は禁煙で、皆さんベランダや庭で吸ってました。
取材先のベランダや庭で一緒にタバコをふかす・・・・
言葉は通じないので多くの会話をする事は出来ませんが、喫煙者にしかわからない至福の時間を異国の人と共有する。
絶対タバコはやめません。
ちなみに自宅でもタバコはベランダです。

グルマリアさんが収録中に・・・「チャイしましょう!」
vol.63「世界の60歳(Part3)」 より

チャイ

1日に4~5回あるチャイタイム

チャイタイムの食卓

出された料理のひとつ
麺、羊、馬の腸詰、ジャガイモを煮たもの
チャイ
取材には、設定したロケ日の前日にロケハンを行ないます。
取材対象者の都合に合わせ大抵の場合昼食を終えたと思われる13時頃にお邪魔します。
カザフスタンでは都合4名の方を取材。労働者のセリクバイさんを除く、3名のお宅に行くと、必ず「チャイしましょう!」となりました。短期間でなるべく仲良くなりたいこちらとしても、あつかましくその誘いを断りません。お茶を飲みながら小1時間も話をすればなんとなくコミュニケーションはとれるケースがあるからです。まだカザフスタンのチャイ文化や人々の気質を理解していない私は喜んでそのお誘いに応じました。
しかし、たいへんな事になってしまいました・・・
「60歳(Part3)」のグルマリアさんの場合。
13時にグルマリアさんのお宅へ。ご挨拶を済ませひと通り撮影の段取りを済ませようと思った時に・・・「まあチャイしながらゆっくりとね」とグルマリアさんから誘われチャイタイムが始まりました。
カザフスタンでは日本と同じように10人ほどが席につける大きな飯台が、いわゆるリビングに置いてあります。日本で言う座布団も使用します。私たちは客ですからテーブルの一番上座に座り、その向かいに家長である夫のソビエトさんが座り、チャイを出すグルマリアさんは一番下座が座ります。
チャイとは紅茶の事です。しかしインドやイギリスで飲まれているものとは若干違います。大きい薬缶と小さい薬缶が二つ用意され、大きい薬缶にはお湯が入っていて、小さい薬缶に紅茶を入れ煮出します。この紅茶はとても濃いもので色は赤ワインのようです。この濃い紅茶を茶碗に少しいれ、お湯で割り、大抵の場合はミルクを入れます。好みで砂糖を入れます。
不思議なものでお砂糖は男性の方が入れるケースが多かったです。簡単に言うとミルクティです。
こんなチャイタイムを食事の時はもちろん、家事の合間や来客時に飲み・・・1日4~5回のチャイタイムを楽しむのです。
取材の日には5回ありました。そしてお茶と一緒にパンやジャム、クッキーなどが出されます。
私たち日本人の美徳として、出されたものは残さず食べる。あるいは飲む。というのがありますよね。
私もそうです。ですから日本でお茶を出された時のように残さず飲みます。するとすかさずグルマリアさんが手を出し「おかわりどうぞ!」「はい、すみません」と2杯目のチャイが注がれます。
そして3杯目。もういいと思っているのですが次から次へとチャイが注がれます。
カザフスタンでは出されたものを残さず食べる人は「お腹が空いてる」と思うそうです。で「もうお腹いっぱいです」は遠慮してると思われるのです。本当に「もうチャイはいりません」と思ったらお茶碗の上に手のひらを乗せ「ご馳走様」というのが礼儀だそうです。後になってコーディネーターから聞きました。早く教えてね。そういうこと。
都合5杯のチャイを頂きました。普段はコーヒーしか飲まないのでほぼ30年分の紅茶を飲んだ事になります。
さて、一応の打ち合わせを終えてそろそろ失礼しようと思ったら「晩御飯を用意したから食べていきなさい」とグルマリアさん。台所から良い匂いがしていたのでなんとなく覚悟していたのですが...
コーディネーターに聞いたら「断るのは失礼」とのこと。その時点で午後5時。グルマリアさんのお宅にお邪魔してすでに4時間が経過していました。夕食は羊や馬の肉を煮込んだ料理。柔らかく煮えているのですが、味付けが薄いのがなんとも・・・醤油の力は偉大だと認識させられます。
そして、グルマリアさんのお宅を失礼したのは午後7時過ぎ。都合6時間グルマリアさんの家にいた事になります。
帰るときも「泊まっていけ」と何度も何度も言われましたが「機材がホテルにあるから」と何とかその誘いを断りホテルに戻る事ができました。このようなもてなしはグルマリアさんの家に限った事ではなくカザフスタンではごく当たり前のこと。実際に鉄道の撮影では、運転手のミーシャはルスランさんの家に2泊しました。
一緒にチャイを飲み、肉を食べ、同じ屋根の下で眠る。それがカザフスタン流なのです。
街路樹
カザフスタンの街を歩くと綺麗に整備された街路樹が目に付きます。
夏は30度を越える街に木陰を作り、冬は風を遮ります。
その街路樹の根元は例外なく白いペンキで塗られています。
「なんで?」とコーディネーターに聞いたところ「わからない」と言う事でした。
運転手に聞くと「防虫と街灯の役目」ということらしいです。
木の根元を白く塗る事により夜はうっすらと夜道を照らす効果があるそうです。
これから発展していくカザフスタン。あと30年もするとこれらの街路樹はコンクリートの街灯に変わるのでしょうか?
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